2004/11/26 (金)

商用有人宇宙輸送へ向けたFAAライセンスの改訂

英ヴァージングループなどが商用の宇宙機を本格的に開発することを発表し民間宇宙旅行事業の実現を目指している。
この実現に向けて、重要な問題であり越えるべきハードルが「規制」の問題である。

アメリカでは連邦航空局(FAA)が商用の航空機のライセンスを管理している。
よって、商用の宇宙機を開発した場合、これに実際にお客を乗せて飛行するには、FAAのライセンスを取得する必要がある。
しかし、現在の規定は過去の航空の歴史で積み上げられた実績と安全性を満たすことが求められている。
これは何百回もの試験をクリアすることであったり、高度な安全性をクリアすることである。
このような現在のFAAの規定をすべて満たすことが、新しい宇宙輸送機に適用されると商用宇宙機の開発には多くの時間と巨額の費用を投じなければならなくなり、民間による宇宙旅行ビジネスの実現がとても現実的ではなくなる。
この規定をそのまま当てはめていては、新しい産業の発展や、新技術の開発を妨げることになるだろう。
ライト兄弟やリンドバーグも今のような確立された航空法を適用されていたら、試験飛行も大西洋横断も成し遂げることができなかったことでしょう。

そこで、民間の航空と同じ要求を、民間商用宇宙飛行産業に適用するべきではなく、発達中の宇宙機に対してはその産業の発展を促す為にも現在の航空法よりも規制を緩和したライセンス規定を定めるべきであるとして、新たなFAAの商用宇宙機向けのライセンスを制定する動きが米下院から始まろうとしている。

国からの保護や国の権限による適切な後押しが、民間による新宇宙産業の発展を促すことになることを米政府が認識しはじめている。
現在のところ、法改正の見込みが8年後と言われており、このままではバージンギャラクティック社による宇宙旅行サービス開始目標の2007年までには間に合わない。
もっともっと早い法改正が切に望まれる。

米 スペースアクセスクラブでは、このための法改正について政府に働きかける積極的な活動を行っている。
FAAがどのような法改正をするべきかは、X PRIZE創設者 ピーター・ディアマンデス氏とSF/J パトリックコリンズ教授のと共著による論文の中で提唱されており、FAAの宇宙向けライセンスがここで提唱されているものと近い形になることが検討されている。

日本においても宇宙旅行ビジネスを実現させるためには、まったく同様の規制(JAA)の問題が立ちはだかっている。
これらの問題を一刻も早く解決し、民間による宇宙旅行事業の妨げとならないよう、むしろ新産業の発展を促し後押しするような法改正が望まれる。


関連サイト

Space Access Society