2005/02/11 (金)

バーチャル宇宙船でゲームメーカが宇宙開発に貢献

米のゲームメーカのビジョン・ビデオゲームズ社は『スペースステーション
シム』(SpaceStationSIM)というゲームを製作している。NASAの宇宙機開発に
ゲームメーカのバーチャルシミュレーション技術が利用されている。

このゲームは、今春に再開が予定されているスペースシャトルの打ち上げに合わせて発売される予定で、プレイヤーは、このゲームの3Dシミュレーション環境で、『国際宇宙ステーション』(ISS)にいる宇宙飛行士の気分(スクリーンショット)を味わえる。

しかし、これは完全なゲームの世界の話だけではない。実はビジョン・ビデオゲームズ社は、NASAと結んだ『宇宙活動協定』(Space Act Agreement)の一環として入手した技術仕様を使ってこのゲームを設計しているのだ。また、同社はNASAと結んでいる別の契約のもとで、『乗員輸送用小型宇宙船』(CEV: CrewExploration Vehicle)の開発で重要な役割を担っている。

ビジョン・ビデオゲームズ社では「われわれが求められたのは……バーチャルな宇宙船を作り、小回りのきく宇宙船の開発が可能だという考えを実証すること、人間工学に基づく効率性をモデル化することだ。将来、(われわれは)自社のAI(人工知能)やソフトウェア『スペースステーションシム』を使用して、バーチャルな宇宙船のシミュレーションを実施するつもりだ」と考えており、シミュレーションをベースに宇宙船の開発を行っていくというものだ。

このように実際に物を作る前に各システムの人間工学的な有効性を視覚化し、モデル化をシミュレーションで支援した上で開発を進めていくSBA(simulation-based acquisition)と呼ばれる手法が注目され始めている。

この手法は「『ボーイング777型』機のプロジェクトで使用され、米国防総省でも採用された。『SBA』は今日の合言葉になっている」政府や業界がこぞってSBAを採用しているのは、こうしたソフトウェア・プログラムがあらゆる種類の環境を現実に近い形でシミュレートできるからだという。

宇宙船開発の手法が変わりつつあり、バーチャルな宇宙船のシミュレーションを実施することにより、早期リスク回避やコストダウンに期待できるのではないだろうか?
ますます、宇宙産業に発展に関してこのようなゲームメーカやIT企業の活躍が重要になってくるだろう。
そしてさまざまなアイデアが問題を解決していくことになっていくであろう。

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