2005/05/19 (木)

Dream Chaser プロジェクトが一歩前進

米SpaceDev社は、NASAと共同開発中の準軌道用宇宙船「Dream Chaser」の初期の基本設計が完了したと発表した。


2004年秋にSpaceDevとNASAのエームズ研究センター(Ames Research Center)は共同で再使用型RLV宇宙機の開発計画を進めることに合意する「Space Act」協定を結んだ。

これは引退予定のスペースシャトルに次ぐISS(国際宇宙ステーション)へのアクセス手段としても検討されており、低軌道の宇宙開発を民間事業へ移行させようとする方針の転換の一環として注目されていた。

Dream Chaserはまずは弾道での有人機の開発から着手し、最初は低コストと安全と高信頼性に重点を置いた開発で、最終的には低軌道LEO向けの宇宙船の開発を目標としている。

Dream Chaserは垂直離陸、水平着陸(弾道へは単段、低軌道へは2段式と思われる)のタイプで、VTHL (Vertical Take-off Horizontal Launch)と呼ばれる種類になる。

このタイプの開発は、離陸の際には翼が錘となってしまう為、燃料が多く必要になるなどのデメリットがあるが、帰還の際には帰還システム(OMS(帰還用軌道離脱用推進系))を翼によるクロスレンジ方向の修正性能の向上によって簡素化できるというメリットがある。

Space Dev社は ANSARI X PRIZEを獲得したスペースシップワンのハイブリッド・ロケットエンジンを開発した実績のある企業で、スケールド・コンポジット社もSpaceDev社の技術支援無しには今後のスペースシップツーの開発もままならないと言われる技術力のある企業である。

X PRIZEの次のコンテストとしてビゲロー社が企画しているAmerican's Space PRIZEがあるが、これは2010年までにビゲローの建設した宇宙ホテルに到達することを目標に設定されている。
このコンテストの賞金(5000万ドル)獲得もターゲットに2010年までの達成をDream Chaserは掲げている。

2008年には弾道でのサービスも開始すると見られ、2008年ごろに予定されているバージンギャラクティック社のスペースシップワンやSpaceAdventures社のジーラス、C-21らとの強力なライバルになることだろう。

2008年までに、主要な民間プロジェクトでのRLV宇宙機の横綱たちが顔を並べることとなる。
その後、どのような歴史が民間宇宙機の歴史に刻まれていくのだろうか?

10年後のあなたは、Dream Chaserの客席で地球を眺めながらビゲローの宇宙ホテルを目指しているのかもしれない。

※画像はSpaceDev社のHPより

関連サイト
Space Dev
Ames Research Center