2005/05/29 (日)

t/SpaceがCXVモックアップを公開

米宇宙起業家たちが月を含む低コスト宇宙輸送を目指して設立したTransformational Space Corporation社(t/Space)が開発する地球低軌道までの低コスト有人機CXVのフルスケールサイズモックアップを公開した。

t/Spaceは、ブッシュ大統領が昨年発表した月や火星への飛行(Space Exploration)を目指す新宇宙政策の発表に応じて、米民間企業やホワイトハウス、元宇宙飛行士などが集まり2004年につくられた。
1989年より月開発の計画を進めてきたLunaCorp社のDavid Gump氏が社長に就任し、元宇宙飛行士のJames Vossや元Roatay Rocket社CEOのGary Hudson氏が名を連ねている。また、パートナー企業として、SpaceShipOneを開発したScaled Composites社や宇宙ライン事業を目指しているUniversal Space Lines社と提携を行っている。

同社は、NASAが開催しているCrew Exploration Vehicle (CEV)のイニシャル・デザインと月・火星有人探査のベスト・アーキテクチャーの構想について競う "Concept Exploration and Refinement"コンペティションに参加しており、勝ち残った8社のうちの1つである。2004年8月に300万ドルの研究資金をNASAより獲得し、2005年3月に更に300万ドルの追加資金を得た。

Crew Transfer Vehicle(CXV)は、4-6人を国際宇宙ステーションまたは地球低軌道へ一回の飛行につき2000万ドル未満で運ぶことができる宇宙船だ。
CXVはキャリヤー航空機から切り離され、ブースターによって加速し、再使用型のカプセルでパラシュートにより帰還する。
CXVの構造及び、キャリアー航空機となるVLA(Very Large Aircraft)をつくるのはBart Rutan氏のスケールド・コンポジッツ社で、VLAはスペースシップワンを運んでいるホワイトナイトに類似したアプローチとなる。
ブースターは低コストな使い捨てシステムとなり、AirLaunch LLC社が開発したQuickReachロケットが使われる予定だ。

2005年5月にリリース方法のシミュレーションを行うために、23%サイズのCXVとブースターのドロップテストがモハーべ・スペースポートで行われ、そのキャリアー航空機としてスケールド・コンポジッツのプロテウスが使用された。

今回公開されたCXVのフルサイズのモックアップはエンジニア・デザインを視覚化することが目的で、今年の8月にはパラシュートを配備しヘリコプターからドロップテストを行う予定だ。
計画では2008年夏期に無人のデモンストレーション飛行を行い、2008年12月に有人飛行を行う。

CXVはNASAのCEVの一研究に位置付けられる。完全再使用型ではないが、このような低コスト宇宙輸送を目指す米民間企業の努力が、今後ますます宇宙輸送コストの引き下げに貢献すると思われる。


※写真はt/Space社のHPより


関連サイト
t/Space