2005/08/28 (日)

リチャード・ブランソン卿とバート・ルータン氏が新しい宇宙船製造会社を設立

英国の企業家リチャード・ブランソン卿は、米国の航空宇宙デザイナーバート・ルータン氏と新しいエアロスペース・プロダクション会社スペースシップ・カンパニー(The Spaceship Company)を米カリフォルニア州モハーベに設立し、ヴァージン・グループとスケールド・コンポジッツ社によって共同で所有すると発表した。

この新しい会社は、サブオービタル宇宙旅客機とそのキャリア飛行機及び支持装置を製造し、ブランソン氏が設立した宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティック社を含むいくつかのスペースライナー運航業者に提供する。

現在、スケールド・コンポジッツ社が開発を進めているのは9人乗りの通称ヴァージン・スペースシップ・エンタープライズと呼ばれるスペースシップ・ツー(SS2)とそのマザーシップで通称イブと呼ばれるホワイトナイト・ツー(WK2)で、SS2/WK2システムはスペースシップワンのために考え出された再突入とハイブリッド・ロケットエンジン・デザインの概念を採用している。しかし、この新しい機体はSS1/WKの2倍の大きさになる予定だ。
SS1/WKの所有権はポール・アレン氏のモハーベ・エアロスペース・カンパニー社が所持しており、そのテクノロジーの認可を得てSS2/WK2の開発を行う。新しい宇宙船設計の知的所有権はスペースシップ・カンパニーが所有する。
スペースシップ・カンパニー社はまず、ヴァージン・ギャラクティック社のために、スペースシップ・ツーを5機と、ホワイトナイト・ツーを2機製造する予定だ。

ヴァージン・ギャラクティック社のウィル・ホワイトホーン社長は、旅客輸送ロケット船の開発を促進し製造を進めるために、どのような投資カーブが最適かについて、チャートを作成し数カ月にわたってルータン氏と交渉していたと言う。「We have decided that since this is such a new industry - and so early in this investment curve - that we are actually going to act as the manufacturer and developer of the ships alongside Rutan」

また、ホワイトホーン社長は開発のスケジュールについては融通をきかせながら行うと言う。「開発と実験的フライトテストを2007年内に行いたいです。そして、2008年内に商業的な運営を開始したいと思っています。しかし、これは独特なプロジェクトです。特定のタイムテーブルに頑迷にこだわるつもりはありません。
新しい宇宙観光旅客機は設計中で、モックアップの製造も進んでおり、そのうち公開するでしょう。まだ今は、インテリアとエクステリアについて詳細には設計されていません。
およそ100回、少なくとも50回の新しい機体のテストフライトがモハーベのカリフォルニア・スペースポートで行われるでしょう。そのシェークアウトテスト期間は、9ヶ月から10ヵ月間ほどです。
私達のトラックの開発を妨げているものは当面何も存在していません。」

ブランソン氏は開発された宇宙旅客機の運営場所について米国内どの州にするか検討中であると言う。
「私たちはまだ、ベースをどの州にするか決めていません。モハーベか、カリフォルニア砂漠か、ラスべガスか、ニューメキシコか、またはフロリダから宇宙旅客機は飛び立つでしょう。」

先日行われたスペースアドベンチャーズ社とJTBの提携記者会見においても、スペースアドベンチャーズ社のエリック・アンダーソン社長は、サブオービタル旅行に使う機体についてロシアで開発された機体になるかもしれないし、スペースシップツーを使う可能性もあると示唆した。

宇宙旅行を牽引するバート・ルータン氏の次なる芸術作品に、世界の注目が集まっている。


※写真はScaled Composites社のHPより

関連サイト
Virgin Galactic 
Scaled Composites
Space.com