2004/09/09 (木)

X-PRIZE まだまだあきらめないチーム!

XPRIZEの獲得はスケールド・コンポジッツのSpaceShipOneとダビンチプロジェクトのWildFireが優位な立場にあり、正式に挑戦飛行を発表しているこの2チームに絞られたと見られているが、まだまだあきらめないチームがある。

SpaceShipOne :#1 9/29, #2 10/4(予定)
WildFire   :#1 10/2 #2 未定

この2チームが優位であることは確かであるが、今年中の飛行の可能性があるチームがまだある。カナディアンアローとスペーストランスポート(STC)である。

カナディアンアローはドイツが第2次世界大戦中に開発したV2ロケットを改良して”Canadian Arrow”というロケットを開発している。このチームはポピュラーな宇宙旅行の夢をかなえるために「わざわざ一からやり直さない。」というアプローチで、60年以上前の技術、研究成果を利用し、V2ロケット技術を復活させることを考えている。

宇宙機”Canadian Arrow”は多段式の垂直離陸/パラシュートでの海洋着水の宇宙機で、海洋から垂直に打ち上げられ、宇宙空間で2段ロケットを分離し高度100km以上まで上昇し、1段、2段それぞれ弾道降下で再突入し、パラシュートを展開し海上に着水するものである。このチームは、SpaceShipOneの飛行がうまくいかなければ、打ち上げに向けて準備を始めると話している。

また、スペーストランスポート(STC)は低コストでの宇宙輸送機を開発し、商業ビジネスとしてサービスを提供することを考えている。このチームは“Rubicon”という宇宙機を開発しており、この宇宙機は単段式の垂直離陸/パラシュートによる海洋着陸の宇宙機で、地上から垂直に打ち上げられパラシュート降下により再突入し、海洋に着水するものである。今年中に有人宇宙船の打ち上げを実施できる可能性は「十分にある」と主張している。

“Rubicon”は1度テストに失敗している。テストの計画では、“Rubicon”1号機は音速を超え、高度約6100メートルに達するはずだった。しかし、太平洋沿岸の私有地に設けられた発射地点から打ち上げられたロケットは、エンジンと制御系統に問題が起きて軌道をそれ、沖合に墜落した。

しかし、本当に何が幸いするかわからない。チーム関係者は実はこの失敗はむしろ天の恵みだったと話している。このことがニュースに取り上げられたことをきっかけに投資家からの問い合わせが相次ぎ、実際に資金も獲得できたのだ。

このことからも、XPRIZEを初めとした宇宙旅行実現のための活動はまだまだ一般に知られていない。しかし、このことを知れば興味がある人や、協力者はたくさんいると思われる。

これからXPRIZE本番に向け、どんどんと世間に紹介されていくだろう。この活動を知り、世間の興味を引き、賛同や協力や投資を考える人が多く現れることを望む。

他のチームも賞金目当てでなく、「宇宙旅行ビジネスの実現」という本当の勝利のために努力を続けていってもらいたい。
そして我々SF/Jはこれらのチームをどんどん紹介し、応援していきたいと考えている。

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