2004/09/21 (火)

茨城民間小型ロケット事業の研究

茨城県内の中小企業15社がJAXA主導で小型ロケットの製造・打ち上げを目指して研究会を発足させた。


民間企業は1社あたり50万円の出資をするという。
JAXAの呼びかけと主導により小型衛星や実験衛星など400kg程度の積荷を高度400km程度の低軌道へ打ち上げる二段式の小型ロケットの開発や市場調査、事業研究などを行う。
この小型ロケットの1機の打ち上げ費用を1億円を目標にするという。

格安の世界の使い捨てロケットビジネスではアメリカのITベンチャーで成功したイーロンマスク氏が計画している低軌道用格安ロケット「ファルコン」が有名であるが、その打ち上げ費用は4〜5億円と見積もられている。
今回の目標 1億円はその価格の4〜5分の1というコストである。
現在のところ世界の低軌道衛星打ち上げ市場のほとんどは、米、ロに独占されているが、実現すれば衛星打ち上げ市場に参入できる可能性もある。

衛星打ち上げ事業の大手としては、米国ではボーイング社とロッキード・マーチン社、EUでは仏アリアンスペース社、更にロシア政府と中国政府である。
米国ではこの他に廃業、休業となった民間ロケット企業としては、有人ロケット『ロートン』の開発を目指した米ロータリー・ロケット社や、米ビール社、米キスラー社などがある。

今回の事業計画はJAXA主体であるため、まだまだ純粋な民間主導による宇宙事業とまでは言えないのかもしれないが、民間企業が積極的に宇宙事業に投資をして事業研究や開発、宇宙事業の活性化を行おうとする姿勢は高く評価できるものである。

日本にはこれまで民間が参加した宇宙事業の研究や開発には 東大阪の町工場が立ち上げた衛星ビジネス事業や日本ロケット協会やKHIなどによる宇宙観光事業「観光丸」の研究、MHIなどによるGXロケットの開発などがある。

今後も、このような地方の民間企業や地方自治体などが積極的に参加し、夢と希望ある宇宙事業の研究や開発が増えていくことを期待したい。
使い捨てではなく、完全再利用型の宇宙機を開発すれば、1回の打ち上げ費用はもっと安くすることが可能である。
次は再使用型宇宙機や有人宇宙機の研究や開発についても民間企業や地上自治体などが研究や開発に名乗りを上げてくることを期待したい。

関連サイト
米スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)社(イーロンマスク)
東大阪宇宙開発協同組合 SOHLA

※画像はSpace X Falcon Iの参考画像です。