2004/12/02 (木)

RVTの将来構想

宇宙航空研究開発機構(JAXA) 宇宙科学研究本部にて研究が進められている短段式の再使用型垂直離着陸宇宙機 である再使用ロケット実験機 Reusable Vircle Test(RVT) は無人による高度100kmの弾道飛行の到達と無人による再使用ロケットの基礎技術の確立を目指した将来構想がある。

これら構想の研究開発が実現するかどうかはまだまだ未定であるが、このような構想が実現し、日本においても将来再使用ロケットの基礎技術を確立することができれば、再使用型による宇宙機の開発が大きく前進し、宇宙旅行事業の実現の可能性がぐっと近づくとSF/Jは考えている。

また、RVTの研究が最終的に目指すものは単に弾道向けだけの再使用ロケットの開発ではないと言われている。
準軌道という低高度の到達だけを目的とするならば、液体水素と酸素を用いた推進システムを用いて、強力な推進力を得る開発をおこ必要はない。
液体水素と酸素を用いた推進システムは、スペースシップワンで用いられれたような安価なハイブリッドエンジンを用いるよりも開発コストがかかる分、より大きな推進力を得られるのである。
これはRVTがより強力な推進力を必要とする軌道への到達をも視野に入れた研究でもあるからである。

我々が推進する宇宙丸プロジェクトは、確立されたRVT技術を転用、応用し、準軌道の宇宙旅行事業を目的とした量産型の安価な再使用型有人宇宙船を開発し、和製の民間宇宙旅行用宇宙機を開発することである。
宇宙丸プロジェクトを推進する目的は、単なる準軌道の宇宙旅行ビジネスを実現させるだけにとどまらず、その先の軌道への宇宙旅行、さらに安価な宇宙アクセス手段を次々と開発し、外惑星への民間による開拓時代の到来を目的としている。その為の、ブレークスルーが準軌道による再使用宇宙機の開発と準軌道宇宙旅行の実現であるといのがSF/Jの考える構想である。
(より長期の研究によりいきなり軌道を目指した宇宙機の開発と軌道の宇宙旅行の実現を目指した考えもあるが、我々は一刻も早く宇宙旅行事業の成功を示せば、より早く軌道の宇宙機の開発が進められると考えている。)

そういった意味では、準軌道だけの開発だけにとどまらず、その先の軌道旅行を目指した宇宙船の開発へ展開が可能となるRVTの技術を転用した準軌道宇宙機の開発は、将来の軌道宇宙旅行への発展を視野にいれた場合には極めて有効であると考えている。(但し、開発コストと利益の還元などの経営的評価を考慮した場合には、別の問題が発生する。)

なお、さらに有人化に向けた開発を行うかどうか、日本において本格的な研究が行われるかどうかはまだまだ不透明であり、現在のところ宇宙機関による研究の実現の望みは少ないと考えられる。
しかし、例え政府による有人の研究がすぐにはなされないとしても、開発コストのかかる液体水素と酸素を用いた再使用型ロケットの基礎的技術を政府や宇宙開発機関によってを確立し、民間へ提供することができれば、残りの民間ビジネスへ向けた有人技術の開発は、早期の宇宙旅行事業の参入を望む民間企業らによる開発により実現するという方法も考えられるかもしれない。
(但し、その為の航空法の改正などの法規制問題については民間だけでは解決できない問題である。)

さまざまな可能性やアイデアを秘めた日本の宇宙旅行事業の希望であるRVTの研究の動向と成功を、SF/Jは注目し、応援していくものである。
また、研究開発の実現の後押しとなる世論の盛り上がりと支持を少しでも高めることができる方法を模索していくものである。

画像:JAXA

参考サイト
JAXAのページ