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政府の宇宙観光旅行拒否政策による納税者の損失
及び各国の改善の展望

始めに

政府は宇宙局に宇宙活動の商業化に対する責任を与えたが、宇宙局は本気でその責任を果たそうとしていません。宇宙観光旅行は宇宙活動の中で最も商業的に成功することが見込まれると認めているにもかかわらず、宇宙局はその開発を遅らせています。世界経済が新産業不足のために不安定な状態にある今、これは納税者にとって大きな損失となっています。いまから、納税者が負うこれらの損失を記述し、そして宇宙活動の経済的貢献による各国の改善の展望について述べます。


1. 序論

『G7』各国(アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、日本)の政府宇宙局は、およそ年に220億ドル(アメリカ150億ドル、ヨーロッパ50億ドル、日本20億ドル)を民間宇宙活動のために使用しています。この支出のおよそ20%が天文学と、天文学以外の宇宙科学に使われます。残りの180億ドルは様々な目的、特に使い捨て型ロケット開発とその関連技術の開発、使い捨て型ロケットの運用管理、『国際宇宙ステーション』開発及び民間製品の宇宙『応用品』化などに使われます。これらの活動は一般的なビジネス世界の感覚では有益とはいえません。もしそれらが一般的なビジネス世界の感覚で行われたならば図1で示されているように、前年より180億ドル多い総売上高を上げることができたでしょう。2000年における商業打上げロケット製造の総売上高は29億ドルで、衛星製造の総売上高はおよそ150億ドルでした。[1] ところが、この活動はほとんど経済的な成長をせず、需要不足と過剰供給の危機的状況に陥っています。[2]


商業と宇宙局の投資の対比
図1 : 商業的な投資と宇宙局の投資の対比

G7各国の政府宇宙局は技術開発に加え商業化に対する責任もあります。例えば、NASAは法律によって次の事をするよう要求されています。「宇宙の完全な商業利用を可能な限り奨励する。」同じように、イギリス国立宇宙センター(BNSC)長官は彼らの活動目的は「宇宙における有益なビジネスチャンスを掴み、それが産業として発展していくように最大限サポートする」ことであると述べています。[3] 欧州宇宙機関(ESA)、日本の宇宙開発事業団(NASDA)、及び各国の政府宇宙局も同じような責任があります。

しかし、これらの機関はどれもこの責任を果たしていません。むしろ宇宙の最も重要な商業活動になると約束された活動(NASA、AIAA、日本『経団連』の全てが1998年にこのことを認める発表をした)[4,5,6]、すなわち宇宙観光旅行の開発を遅らせるために行動しています。G7政府宇宙局は宇宙観光産業を無視し、この分野に資金提供をしないことでその実現を遅らせています。さらに彼らは宇宙観光産業の可能性についての重要な情報を隠し、誤解しやすい、むしろ誤りといえる声明を出して、宇宙観光産業の経済的可能性に対する一般人への理解を遅らせています。

なぜ宇宙局はこのようなことをするのでしょうか?それは宇宙局に商業化に対する責任を持たせると、彼らの利害が対立してしまうからです。官僚政治経済学者ウィリアム・ニスカネンはこう述べています。「官僚組織とその政治的な『監督者』の経済的興味は可能な限り多くの予算を得ることである。」[7] 宇宙活動の商業化を進めていくと、民営化することが究極の形式となります。そのため、政府宇宙局は自らの活動を減らすことになり、より多くの予算を得て拡大発展していくという内部目的に逆らうことになります。

ニスカネンが説明しているように、政府組織の効率は公共支出を増やすことで利権を得ている政治家によって遂行された『監視』によってではなく、政府組織が供給するサービスの消費者として、一般大衆が「継続的テスト」をすることによって維持されています。[7] 直接、一般大衆へ重要なサービスを供給しないため、組織が一般大衆のテストを受ける過程に直面しないという点で政府宇宙局は異例です。ニスカネンはさらにこう説明しています。「政府官僚は彼らの仕事場の中に『公益を知る、あるいは公益を捜し出す、また公益のために行動する』といった少しの誘因も持っていない。」[7] 宇宙局は極めて重要な一般大衆からの意見の欠如によって、公益のために働くようにとの圧力をほんの少しも経験しません。

官僚について誤解されることを避けるため、そして消費者『選択』経済学が多くの人に知られていないため、上述に続きニスカネンの言葉を引用します。「私の印象では公務員は、どの社会にもいる最も正直な人たちと最も利己的でない人たちが大きな割合を占めている。」[7] すなわち、官僚政治の経済的非能率を引き起こしているのは官僚が不正をしているのではなく、彼らには公益のために働かなくてもよいという思想を生み出す構造があるためです。 同様に、宇宙旅行の消費者サービスへの発達を宇宙局(そのスタッフは一般大衆が望んでいることをするようにとの圧力が不十分である)が遅らせているのは、彼らの利権に反している為です。これは下で述べる高価な代償を伴います。

政府宇宙局が事実上の独占活動を行っていることに気を付けるべきです。独占は必ず納税者に対する大きな負担と不十分な技術革新をもたらします。

商業化に責任がありながら赤字活動を続ける政府宇宙機関は、彼らの予算の大きな部分を経済的に重要な活動である宇宙観光旅行の実現可能性を調査することに使うべきです。彼らがこれをしていないことは一般大衆の経済的利益に深く反しています。

私は何度もこの宇宙局の行動と「二つの基準」を批判してきました。二つの基準とは、一年に180億ドルをマイナス100%に近い収益率で宇宙局の活動に使うことを正当化し、一方で、商業的に成功することが本当に有益なのかどうか不確かであるという理由で宇宙観光旅行を開発するための資金提供を拒否することです。[8,9,10] 宇宙局はこれらの批判から自分たちを守ろうともしません。彼らの行動は明らかに一般大衆の経済的利益に反し、商業的な宇宙開発を促進するという機関の法律上の義務に反しているので、彼らは反論することができないのです。その代わりに彼らは、私が「沈黙の陰謀」と呼ぶものを維持し続けています。[11]

これは反宇宙観光旅行政策と呼ぶに相応しいものであると思われます。商業的な乗客旅行の成長を助け、反宇宙観光旅行政策を改善するには、「税金を宇宙で政府『任務』を遂行することに使う」という冷戦時代の思考から抜け出すことが必要です。[12] もし政策に対するこの変更がすぐに加えられれば図2で示すシナリオを実現することが可能となり、今現在、存在している政府宇宙活動の継続よりはるかに納税者の負担を下げ、大きな経済的利益となるでしょう。[13]


2030年の宇宙観光産業
図2 : 2030年に達成可能な宇宙観光旅行産業


2. 納税者の損失

G7各国政府が商業宇宙開発において最も有望な分野である宇宙観光産業の開発にわずかな投資さえ拒絶し続けることで、納税者は主に4つの損失を負います。

2.1 宇宙活動が経済的でないことによる直接的な損失

自然科学以外の経済価値の少ない宇宙活動に年約180億ドル支出し続けることによって、納税者は大きな損失を負っています。その額は冷戦終結以来1/4兆ドルに上ります。もっと経済的に使われていれば、この額と同等か、より大きな価値の資産を作ることができ、それと共に商業宇宙活動に携わる数百万もの恒久的な仕事を作ることができました。代わりにこの資産は失われ、一方で、航空宇宙産業全体の規模が急速に縮小するこの現在の危機的状況をもたらしています。

2.2 商業宇宙観光旅行開発を遅らせることでの損失

商業宇宙観光旅行産業によって上げることができた利益、雇用、歳入。納税者はこういったものを得られないという損失を負うことになります。この損失は政府が資金提供を拒絶することだけで作られるわけではありません。宇宙活動において独占を保ちたい政府宇宙局が世論、マスコミ、政治家、投資家に対して反宇宙観光旅行活動を行い、強い否定的な影響を与えることによっても作られます。商業宇宙観光産業から利益を得ることの遅れから生じている現在の損失を正確に見積もることはできませんが、一年に数十億ドル程でしょう。[14] 今後この業界の成長する規模が大きいほど、この遅れから生じる損失はより大きなものとなります。

2.3 世界的な不景気による損失

世界経済は日本と中国から広がっている強力なデフレーションにより1929年以来、最も不安定な状態になっています。ヨーロッパ、アメリカ、ロシア、アジア、他、失業率は世界中で高い値を示しています。農業や採鉱のようなより古い産業でもはや必要とされなくなった何百万人もの人々が新しい職を得るために、20世紀に多くの雇用を生み出した航空旅行産業のような新産業を開発しなければなりません。

世界経済の悪化が続くことで生じる損失の規模はまだこれから明確にしなければならないけれど、きわめて大きいものです。しかし、この損失の中でどの程度が政府の反宇宙観光旅行政策に依存しているのか見極めるのは容易ではありません。とはいえ、これもまた極めて大きいです。宇宙観光旅行の開発と、それがもたらす経済成長の多くの新しい機会を遅らせることは取るに足りない損失などでは決してありません。

2.4 宇宙観光旅行開発の遅延による社会的な損失

宇宙『開拓』の開始をこれに伴う全ての有益な影響と共に遅らせることは社会的に大きな損失です。これは特に若い人と発展途上国の人々とって大きく影響します。新産業の不足のために失業率が高くなっている先進国は保護貿易を行い自国の経済を良くしようとします。それに対して、失業率が非常に高い多くの発展途上国は少しでも経済を発展させようと、この保護貿易主義を非難します。G7各国納税者の失業における損失を図3に示します。

これら4つの損失の規模は数兆ドルであり、『マクロ経済』レベルでさえ非常に重要な要素となっています。従って、宇宙活動に対する政府支出は、宇宙局が持つ狭い利権によってではなく、経済政策の需要によって決定されるべきです。[13,15]

宇宙旅行拒否政策による損失
図3 : G7各国政府の宇宙旅行拒否政策による損失


3. 各国の改善の展望

ここではまず2000年初期の評価を行い、続けて各国の改善の展望を簡潔に検討します。[15]官僚が既得権に反する行動をとるのは、一般的に予算削減や飽和状態の公共事業に対する一般からの非難のような強い外部圧力が生じた時だけです。改善の可能性は、ロシア政府が宇宙予算を大きくカットしたことに応じてロシア航空宇宙産業が最近行った、宇宙観光旅行に関係があるサービスを提供するといった処置によって示されています。これらの変化は遅れの程度差こそあれ、世界の宇宙産業全体にわたる変化を間違いなく代表しています。フランスと日本の宇宙局に最近見られる予算に関する切迫さは、本質的に経済成長に寄与することを彼らが失敗したことに起因しているように思われます。

アメリカ

ゴールディン前NASA長官(在職期間:1992年〜2001年)は、NASA自身が行った宇宙観光旅行に関する非常に肯定的な報告がNASAのホームページで公開されることを許可しませんでした。[4] 世界最大の宇宙局の長官であった彼は宇宙観光旅行の開発を遅らせるために精力的に行動しました。2000年12月31日に放送された人気番組『Today show』において、司会者ケイティー・コーリックが彼の代理として出演したガーバー副長官に行ったインタビューによって、宇宙観光旅行に関する彼の政策の典型的な例を見ることができました。この番組の中でガーバーは宇宙観光旅行に関するNASAの非常に肯定的な報告を無視しました。もし彼女がNASAの利益ではなく公益を重んじて行動していれば、この新産業の刺激的な展望を米国一般大衆に示すことによって彼らを活気付かせることができたでしょう。しかし、ゴールディンはNASAの利権を優先することを考えました。

2001年初めに、デニス・ティトーが国際宇宙ステーションのロシアセクターを訪問しようとした際、それを妨げるためにゴールディンは大きな反対運動をし、彼の反宇宙観光運動は最高潮に達しました。この広く世間に知れわたった彼の失敗は、NASAが今まで行ってきた宇宙観光旅行に関連した仕事について議会の科学委員会に疑われたことや、「NASAの宇宙観光旅行報告」がNASAのホームページを通して利用可能にされたこと、旅行者活動に対するサポートを含む商業化への新しいNASA政策の草案を作成すること、そしてゴールディンの在職期間の終了が発表されることを含む一連の結果を招きました。[14]

新しく任命されたオキーフ長官は以前、行政管理予算局(OMB)次長だった時NASAは公益のために働き、米国連邦法のもとで義務を果たすべきだという考えを持っていたようです。もし、今も同じように考えているのなら、大衆宇宙旅行や宇宙観光をサポートするとスピーチで述べたように、[4]の中で推薦したことを実行に移すべきです。そして、それを促進するために専門のオフィスを設立し、航空産業との協力を進めるべきです。オキーフが公益よりNASAの利権を優先させるようにとの圧力に抵抗すれば迅速な進歩が遂げられるでしょう。しかし、彼がNASA長官になった数ヶ月後に、「職の変化」が起こったようです。最近の彼のコメントからはNASAの商業化への活動の熱意不足を感じます。

2000年に、アメリカ政府が行った宇宙観光旅行のための努力は主にアメリカ連邦航空局(FAA)の商業宇宙輸送部門(AST)によって行われました。ASTの予算は2001年に2倍になったけれども、それはまだNASA予算のたった1/1000です。アメリカ政府は本当に何を優先させるべきかについてまだ分かっていません。

2001年にブッシュ大統領は、低迷が続くアメリカ航空宇宙産業を復活させるようにとの要求を受け、政策を練るために独立委員会を設立しました。委員の一人、元宇宙飛行士バズ・オルドリンは宇宙旅行の重要性を強調しましたが、はたして委員達がNASAの利益が公益に逆らっていることを理解していたか疑問です。多くの委員がNASAの予算を増やすことを提案しました。しかしこれは航空宇宙産業の経済動向の改善につながらず、逆に宇宙の商業化を遅らせます。これはNASAに有益なものが短期的にはその得意先会社に有益であるかもしれないが、商業的な宇宙観光旅行の成長に有益ではないためです。

名目上は独立したこの『航空宇宙委員会』が、航空産業や防衛以外の全ての産業がそうであるように、経済的に健全な宇宙産業は中央政府監督ではなく消費者需要に基づくべきであることを強調しない報告を提出することは危険だと思います。もしこれをせず、単にNASAとその得意先会社の特別な利権によって公的資金提供を増やすことを勧めれば、経済的決定をする政治過程での特別な無能や政府政策立案上の既得権の手に負えない影響、政府独占によって引き起こされた損害を更に強く確証するでしょう。[7]

宇宙旅行協会(STS)と宇宙輸送協会(STA)の宇宙観光旅行部門は、政府から独立して貴重な仕事を続けています。しかし、宇宙観光旅行サービスの提供を目指す政府から独立した企業のように彼らの活動は資金不足によって厳しく制限されています。アメリカの改善の展望は現在、オキーフ長官と航空宇宙委員会の両方が強固な既得権に反して公益のために働くことを考え、支持する気になるかに依存しています。

ロシア

ユーリー・ガガーリンが行った歴史的宇宙飛行の40周年記念日に、1657機目のソユーズロケットに乗りデニス・ティトーは「最初の宇宙旅行」を行いました。このロシアの画期的な商業宇宙活動は、アメリカ宇宙産業の失敗の大きさを強調しました。50年前に設計されたこのロケットを改良するため、およそ1兆ドルの税金が投入されたが結局失敗に終わりました。ソユーズロケットによる半世紀に及ぶ宇宙輸送の支配は乗客交通輸送の歴史の中で異例の長さです。同じく強調されたのはNASAとその得意先会社が行うべき一般大衆の利益となる活動がごく乏しいものであることを、アメリカのマスコミが批判してこなかったことです。[17] このマスコミの失敗については[18]で述べられています。

ジェット戦闘機による高高度飛行、定期旅客機が放物線飛行をすることで行われる「無重力」経験、宇宙飛行士トレーニング経験など、ロシアの会社は他に類のない宇宙旅行に関係があるサービスを提供しています。また、観光と商業サービス専用の軌道上「ミニステーション」と、「コスモポリス21」準軌道旅客機の開発が同時に進行しています。ロシアの成長の可能性は、ロシアの企業が国際的に投資を集めることに経験不足であることを克服できるかどうかにかかっています。

ドイツ

最初の国際宇宙観光旅行シンポジウム(ISST) を1997年と1999年に2度開催し、宇宙観光旅行活動の先頭に立ったが、他国と同じくドイツの研究者も資金提供不足によって活動の進行を引き止められています。しかし、ドイツ政府は無人とはいえ再使用型機の開発のためにESAでは最も大きな予算を組むなど、多くの局面で重要な貢献を続けています。

フランス

2000年において、フランスの研究者はまだ宇宙観光旅行に寄与する報告を何もしていません。フランス政府はアリアン衛星打上げロケットの最大スポンサーです。このロケットは最低年3機の打上げを行うためにESAが資金提供をしています。[19] 使い捨て型ロケットを重視するフランス政府は、宇宙は政治の領域であるという「冷戦」思考を抱き続けています。アメリカによって運営されているGPSシステムの代わりをする「ガリレオ」衛星ナビゲーションシステムのような宇宙プロジェクトは重要な政治目的があります。しかし、政府宇宙局がユーザーたちとそのようなシステムのメーカーたちの間で行動する必要があるのか疑問です。図2及び図3で説明されるように、そのような見地は宇宙商業化の持つ潜在的な経済的利益を無視しています。

イギリス

イギリス国立宇宙センター(BNSC)は宇宙観光旅行を実現させるために資金提供をこの10年間全くしてきませんでした。このことに対する正当化不足を隠すために、BNSCは不正と官僚的な言い逃れを続けてきました。[11,14] 2000年に議会の貿易産業委員会がこの行動を批判しましたが、BNSCは無視し続けたのです。その後、BNSCは我々に対して宇宙乗客旅行市場の研究を止め人工衛星打上げ用の再使用型機の研究をするよう指示し、予算を出しました。しかし、それに続いてBNSCは研究が次のことを示したと発表しました。「今回のこのヨーロッパ再使用型ロケット分野への投資は戦略的に健全でなく、商業的な魅力などない。」[20] 乗客旅行に関してBNSCが続ける沈黙の結果、ほとんどの読者はこの結論は乗客機を含む全ての再使用型機に当てはまると考えるでしょう。これは真実でなく、BNSCの発表も不正直であり当てになどなりません。

最近、イギリス貿易産業省が「BNSCに関する再調査」を行いました。そこにはこう述べられています。「貿易産業省宇宙政策調査特別委員会へ提供された証拠を再調査する。」それは乗客旅行に関する5つの提起を含んでいました。[11] しかし、調査委員はこれが実行されたかという問には答えません。

BNSCは貿易産業省が甚だしく損失を生み出すと批判したシステムにおよそ10億ドルをつぎ込む一方で、宇宙観光旅行に関する仕事を枯渇し続けています。これはBNSC自身が述べた次の政策に反しています。「BNSCは宇宙で有益なビジネスをしようとする産業を最大限助ける。」[3] BNSC幹部と貿易産業省(DTI)のBNSC監督者は、この非経済的な行動を正当化する義務を容易に避けることができ、DTIを『監督する』議会委員会を欺いています。

DTIとBNSCは納税者の経済的利益に反するとはっきりと分かる方法で資金を配分しても正当化することを要求されないという事実は、ニスカネンが述べる民主政治意思決定における特別経済効果の良い例です。[7] BNSC官僚は納税者の利益になることを行うことに関心がありません。彼らは一般からの強い圧力がかかるまで税金を浪費し続け、イギリスの企業が宇宙の商業的機会を得ることを妨げ続けます。

日本

 企業に国際会計基準に従うよう要求するような本質的で有益な政策を行っているにもかかわらず、日本経済の状態はここ数年間悪化を続けています。第一の原因は赤字活動を続ける企業を助けるために一年に何兆円も使う政府の政策です。企業倒産率が上昇する一方で、新しい会社の形成率はこの15年間低下を続けました。当然の結果として、失業率は過去50年で最高となりました。そして、経済成長はこの4年間停止し、デフレ経済が進行しています。

日本政府では選挙により選ばれるわけではない政府高官が他のG7各国に比べ大きな力を持っています。従って、この政府構造の改革を簡潔に表すと「官僚政治から民主主義へ」となります。この構造は日本が過去に他国の最先端産業をまねて急成長をした時代には有益であったけれど、1980年代中頃以後、経済の構造改革と新産業の開発を遅らせました。ニスカネンが述べているように、官僚と彼らの予算を支持して利益を得ている政治家による抵抗のため、現在の官僚的な政府システムを変えることはとても難しいです。[7]

「日本の官僚は自分たちを『侍』伝統の後継者であると考えている」と文化的なレベルで言われています。日本の社会において侍の地位は商人より高いものであり、「侍の仕事は単に金を稼ぐことでない」といった仕事に対する高い誇りを持っていました。官僚は「一般消費者」の願望を満足させる目的で働くことは、威厳にかかわるという考えを持っていると言われています。しかし、こういった姿勢が1990年代の日本経済の大規模な損害をもたらしたのです。政府官僚は一般大衆が何を望んでいるかわからず、彼らは危険を冒すことに強く抵抗します。その結果、彼らは新産業を創立することができません。それでも彼らは税金を使うという伝統的な役割を減らすことを望んでいません。

こういった背景を作ったことに対して、日本の宇宙産業の累積赤字が他のG7各国と同じく大きな責任があります。この状態を改善する最初のステップは過去の間違いを率直に認識することです。現在の日本の深刻な経済危機の中で、何に対する制約もなしに現在の状況について議論するのは重要なことです。経済の間違いについて言及することになるけれど、これは『不快である』とみなすべきではありません。 景気回復への必要不可欠なステップとして、それは歓迎すべきです。

30年前に科学技術庁(STA)によって設立された宇宙開発事業団(NASDA)は、政府宇宙資金の90%を使い宇宙技術開発を行ってきましたが、そこから経済的利益を上げるというその当初の目的を達成することができませんでした。この事実を率直に認めることは重要です。累積的に行われたおよそ3兆円の投資は、1年の総売上高が1千億円程の商業宇宙産業を作りました。企業が同額の投資をしていれば、1年の総売上は3兆円ほどになっていたでしょう。

対照的に、50年前に日本ロケット工学の『父』と呼ばれた糸川秀雄教授によって設立された旧文部省の宇宙科学研究所(ISAS)は最も費用効率が高い宇宙調査研究組織として世界中で認められています。よく似た組織に、アメリカの大学が管理しているジェット推進研究所(JPL)があります。JPLはNASAの中で最も生産力があり費用効率が高い組織です。NASDAとISASの経済効率についての相違の理由ははっきりしています。ISASは一般的に、独自の調査研究(すなわち技術革新の能力)における成功によって選ばれ昇進した大学教授によって組織されています。ところが、科学技術庁のNASDAは政府官僚によって指揮されています。彼らは最終的に市場のシェアを勝ちとるとことを目標に、西側先進諸国の組織をまねる伝統的な日本モデルをとっています。科学技術庁は今までの累積的なおよそ3兆円の投資に対して黒字収益を上げることができませんでした。それはNASDA技術者が開発した技術がヨーロッパやアメリカのものより劣っているのではなく、より根本的な理由があります。

1) 科学技術庁官僚がNASDAのモデルとした組織はNASAです。NASAは経済的利権を伴う独占活動を行っており、宇宙の商業的開発に強く反しています。[13,14,18]で詳細に述べているように、NASAは少しも経済価値のない活動に数千億ドルの税金を使うことしかせず大いに宇宙の商業化を遅らせました。その結果、これを真似たNASDAは小規模ではあるが宇宙の商業化を遅らせています。

2) 科学技術庁が狙ったのは、使い捨て型人工衛星打上げロケット市場と人工衛星市場であり、これは非常に小さな市場です。2000年における使い捨て型ロケット市場はおよそ30億ドル、人工衛星市場はおよそ15億ドルでした。この市場は無益であり、成長をする見込みもありません。その結果、たとえ大きな市場占有率が得られたとしても、1兆円の価値にもならないでしょう。

3) 科学技術庁のロケットはたとえその開発が当初の計画に沿って成功したとしても、過去20年間に円の国際的価値が大幅に上昇したために、コストに見合ったものとはなりません。

4) よく理解されている理由として、官僚政治は技術革新が非常に下手です。利益を出すためには人工衛星打上げではなく、宇宙へ乗客を運ぶことがより有望であることがこの10年の間で明らかになりました。これは1998年に出版された日本経団連の報告によって認められています。[6] それにもかかわらず、科学技術庁当局者はこの潜在的可能性を秘める新しい分野を調査するために1998年以来使われた1兆円の中から少しの資金提供もしていません。

(1997年から2001年の間、私は一時的な客分研究員としてNASDAにいました。その間、およそ80にのぼる宇宙観光旅行産業の経済的重要性や宇宙から電力供給をする太陽発電衛星に関する論文を作成しました。私は、この機会を与えられたことに感謝をしています。そして私が強く希望していることは、NASDAを管轄することになる、教育、科学、スポーツ、文化に責任を持つ文部科学省の政策立案者が、できる限りすぐに有益な宇宙観光旅行サービスの開発に対して予算を配分し、そうすることによって日本の納税者の利益になる仕事をすることです。)

科学技術庁のもう一つの宇宙調査研究組織、航空宇宙技術研究所(NAL)は、宇宙観光旅行開発に必要不可欠な宇宙産業と航空産業の協力を導くべきでした。[12] しかし、NALは1996年以来、宇宙観光旅行に関する仕事を行っていません。NALはこの5年間で数百億円を赤字の宇宙プロジェクトに使いました。一方で、日本ロケット協会(JRS)と日本航空協会(JAA)は全く政府資金なしで宇宙観光旅行に関する仕事を行ってきました。納税者はNALが行うこの重大な誤りによって、多くの損失をこうむりました。

科学技術庁の組織とは対照的に、ISASの研究者は宇宙商業化に必要な分野で世界中に知られている研究を行っています。特に、ISAS研究者はわずかな資金提供にもかかわらず、商業宇宙開発に必要不可欠な再使用型旅客機を安価で開発することに大きな進歩をしました。宇宙観光旅行に最も適当なタイプの宇宙船である、単段式軌道往還・垂直離着陸機(SSTO・VTOL)及び二段式軌道往還・水平離着陸機(TSTO・HTOL)両方の研究がすでに進行しています。過去にNASAは宇宙観光旅行の実現可能性を認める報告をしました。この報告の参考文献の多くはISAS技術者が作成した再使用型ロケットについての研究論文です。[4] もし彼らの予算が、赤字活動であるロケット開発のために科学技術庁によって使われた資金のごく一部(100万分の1)でなければ、ISAS技術者は更に大きな進歩を遂げていたでしょう。[21]

最近、宇宙観光旅行の非類ない商業的可能性が、日本の宇宙政策立案の最高レベルで公に支持されはじめました。なかでも、宇宙開発委員会の井口雅一委員長は「宇宙観光旅行は大きな市場性を示す」と述べました。[22] そして、NASDAの五代富文前副理事長は、「月への飛行を含めた有人宇宙活動を計画する中国の宇宙産業と競争するために、日本に残っている唯一の手段は宇宙観光旅行産業を開発することである」と述べました。[23] 日本の宇宙開発に対する最も経済的価値のある指示がこのようにはっきりとした声明によって発表され、ようやく長年続いた宇宙観光旅行について論議する事に対する『タブー』がなくなりました。こうなった今、政府官僚が、理由を述べる声明文も出さずに宇宙観光を抑圧し無視することを許してはいけません。イギリスでは政府官僚により宇宙観光は抑圧、無視され、とてもひどく扱われました。

日本政府の構造改革と宇宙活動改革

2001年に始まった、日本政府の広範囲にわたる構造改革の一環として、文部省はより小さい科学技術庁と合併しました。これに続き政府はNASDAとNALをISASと合併すると発表しました。ニスカネンはこのように述べています。「官僚の競争は、利益を求める会社の間の競争と同じくらい社会的効率のために重要な条件である。」[7] そして政府組織の重複を減らすことで有名無実の『理論』政府を目指す政府構造改革は「たいてい失敗し、官僚効率の条件について誤解を反映させる。」[7] すなわち、理論と調査研究の両方がこのような合併における経済的結果が悪いことを示しています。

日本政府は他のG7各国より先に、その金融危機によって宇宙活動の基本調査を行いました。これは宇宙支出の方向を変える絶好の機会であり経済成長に貢献します。日本の景気を良くするために必要な総体的政策を述べることは難しくありません。赤字活動を減らし、黒字活動を増やすことです。赤字活動を続ける企業が『経営の方針転換』を計るように、『既得権』への配慮なしに赤字活動は削減し、黒字活動への投資は増やさなければなりません。

この政策を日本の宇宙産業において実現させるには、以下の事を認識する必要があります。ISASは当初の目的を達成しましたが、NASDAは達成できませんでした。NASDAの失敗は職員が計画を実行することを失敗したわけではありません。計画の方向性が誤っているのでたとえプロジェクトが計画通りに実行されたとしても、それらは経済的に損失を作りだすのです。現在の日本に緊急に必要な経済政策として、計画や予算の優先権を有益な商業宇宙活動の開発を刺激し助けることに与えることで、納税者は大きな経済的利益を得るに違いありません。

政府『宇宙局』の組織概念はソビエト連邦から来ました。ソ連政府は一般大衆よりもよく彼らのお金がどのように使われるべきか知っていると主張しました。冷戦が終結しソビエト連邦が崩壊したことでこの概念は完全に信用を失いました。中央政府宇宙局は中央政府「陸局」「海局」「空局」よりもさらに必要がありません。納税者の経済的利益に反して宇宙活動の商業化を遅らせる宇宙局は不必要である以上に有害です。政府が首尾よく航空で演じた役(すなわち商業的な乗客旅行産業の成長を助けたこと)とそっくりな役を宇宙で演じる調査研究組織は、宇宙局よりかなり経済的に価値があります。

結局、再編成の最も経済的に能率が良いパターンは宇宙局の仕事の終了を発表し、ISASを中心とした組織を作ることです。ISASは経済的な収益を上げるという今までにない新たな目的を持ち、政府により結合された宇宙予算の配分を担当します。結合された新組織の名前は『宇宙科学商業研究所』Institute for Space and Astronautical Science and Commerce(ISASC)が良いでしょう。

この提案に対しておそらく「ISASは商業的な専門知識を持っていない」という反応が返ってくるでしょう。しかし、科学技術庁は商業的に成功せず3兆円も使用しました。科学技術庁がモデルとした宇宙局は全て商業的に失敗しているので日本宇宙局が今の活動を継続しても損失を増やすだけです。対照的に、ISASはそれ自体が最も費用効率が高く、柔軟な方法でその目的を成し遂げることに優れていることを示し、組織として成功しました。この事を考えると、宇宙科学商業研究所は、長年の科学調査を続けながら、適切な職員を募集することを含めその新しく割り当てられた目的を達成するために全てを任せることができます。

日本政府は全ての有人宇宙活動にアメリカの『スペースシャトル』を使用するという政策を長年続けてきましたが、これはもはや時代遅れであり破棄しなければなりません。代わりに、宇宙観光旅行を実現するためにISASCに宇宙予算の数パーセントを配分すべきです。そうすれば4年以内に乗客を高度100kmに運ぶことができる、操縦された準軌道旅客機の試験機を垂直離着陸型、水平離着陸型の両方を製造し、テストすることができます。このようにして準軌道旅客機の試験機開発をすぐに行えば、世界初となる有益な商業的準軌道宇宙旅行サービスを5年以内に開始することができるでしょう。

(顧客間の競争は当初、準軌道宇宙旅行サービスの市場価格(成行き相場=約1千万円)を上げるが、価格は一人数十万円ほどまで下がることが研究の結果出ています。これは、要求されている技術が非常に明快だからです。そして、宇宙船の保守整備は飛行間に必要なく、宇宙船は一日に何度も飛行することができるためです。このようなサービスは従って、ロシアのソユーズロケットによる25億円の宇宙旅行サービスを買うことのできる大金持ちだけが対象の『アメリカスタイル』のビジネスとは対照的な、「皆が行くことができるかあるいは誰も行くことができないかのどちらか」である『日本スタイル』のビジネスに適しています。)

この準軌道旅客機開発と平行してISASCは、ISAS技術者が協力し日本ロケット協会(JRS)と日本航空協会(JAA)が行った先駆的な仕事を続けるために、航空産業と共同組織を作るべきです。そして、政府や私企業組織に在籍する全ての宇宙航空の専門家は軌道上乗客輸送機の開発に取り組むべきです。今日の民間定期旅客機開発のように、こういった大きな開発計画はほとんどが国際的な共同作業を通して行われます。現在の宇宙予算のごく一部を単段式軌道往還垂直離着陸機と二段式軌道往還水平離着陸機の製造に投資するだけで、日本の企業は有益な軌道上の乗客旅行サービスを開発する国際的なプロジェクトにおいて重要な役割を演じることができます。

おそらくこのような反応が返ってくるでしょう。「そのように大きな変化はできません。」「日本社会のやり方ではない。」「日本の政府官僚は決して過去の失敗を認めないでしょう。」しかし、現在の政府は日本の経済を悪化させている経済政策を立て直すために国民によって選出されました。もし日本政府が有益な活動に投資しないならば、経済は完全に破綻するでしょう。

政府は利益が出ることが見込まれる活動への投資を増やし、損失を出す活動への投資を減らさなければならず、この点は宇宙産業といえども他の産業と変わりません。宇宙活動を商業化するために指示することは他にありません。もし新しく形成された宇宙調査研究組織が、商業宇宙開発を実現するために必要な最小の資金提供さえ拒否するようならば、ロシアや中国と競争することになる未来の商業宇宙産業の中で、日本企業は重要な役割を担うことができないでしょう。

日本産業が新しい市場で成功する為には最初に参入しなければなりません。遅れて参入しても、過去に先駆者達がやってきたように、値段を下げることでシェアをつかむことはきません。なぜなら日本はもはや物価の安い国ではなく最も物価の高い国の一つであり、値段を下げることなどできないからです。H2及びH2-Aロケットはその素晴らしい技術にもかかわらずコスト面において失敗しました。これは日本が富強国の後を追い、より低価格にすることによって市場占有率を獲得することができた時代の終わりを象徴しています。もしこの先数年間、日本政府によって行われてきた『反宇宙観光旅行政策』が続くことになれば、日本産業が航空機製造で結局は『追いつく』ことができなかったように、日本は宇宙観光産業において取り残されてしまうでしょう。

ロシアでは商業的な宇宙観光旅行が急速に発展し、中国では使い捨てではあるが有人宇宙船開発を含む低価格宇宙活動が急速に進歩しています。こういった点を考えると、日本産業が将来の世界的な商業宇宙産業界において重要な地位を得ることができる最後のチャンスは次の数年間にしか残っていません。[24] 日本が成功するのに次の二つの利点があります。商業宇宙観光旅行産業の成功に不可欠な高品質精密工学において世界的に評価の高い日本メーカーの技術。そして宇宙観光旅行に強い関心を持っている規模の大きい裕福な中流階級の人口。しかし、これらの利点は長く続くわけではありません。日本は宇宙観光産業が本当に有益なのかどうか明らかになる前に、その開発へ投資をするリスクを冒さなければなりません。

準軌道旅客機の開発は非常に低価格で行えます。そのため日本の最初の商業的な宇宙船となる準軌道旅客ロケット機の開発に対して、宇宙活動の総合予算の範囲内で数億ドルの資金提供をするのは難しいことではありません。このプロジェクトは大きな経済的価値があることに加えて、大多数の日本人にとても人気があることが調査によって明らかにされています。[25] 従って、政府によって予測不可能だった携帯電話の流行と同じように発展する可能性があります。経済的な新しい消費者サービスを作ることは、何万人もの人々を雇用する新産業を生み出すことになります。

さらに、宇宙観光旅行サービスの開発は若者に刺激的な新しい目標を与えます。この点の重要性は甘く見るべきではありません。今日の若い日本人の将来への展望はここ数十年の間最も寒々しいものが続いています。若者の目に映るのは、50年間で最も高い失業率、政府官僚による汚職や経済介入、既得権益者による改革阻止、こういった社会です。日本の子供たちによる学習意欲不足と教育水準の低下が大きな問題となっています。[26] この状況で、若者が彼らの文化の多くの部分において大きなテーマとして扱われている宇宙旅行を、遠い『夢』ではなく現実の目標であると考えることは勉強に対する大きな動機付けとなります。そして彼らは宇宙の商業化が進まないのは、政府官僚によって他の多くの望ましい変化と同様に抑圧されているためだと気づくでしょう。準軌道旅客機の試験機を開発するためにわずかでも投資することは、日本の沈んだ気分を明るくし、将来に希望をもたせる最良の方法です。


4. 結び

政府宇宙局や政治家の委員会及び、およそ年220億ドルの予算を決める政府官僚は、経済価値で活動を遂行する必要や、一般大衆が望むサービスを供給することで納税者の利益になる行動する必要を無視した狭い世界で働いています。そして彼らは経済的に自らの活動を正当化することさえ必要としません。結果として、彼らは宇宙観光産業が宇宙活動の商業化と、宇宙の経済成長に通じる唯一の活動であると認めても、宇宙局の累積的な約1兆ドルの資金提供から、ほとんど何も宇宙観光旅行の開発を促進するために使いません。宇宙局は宇宙の商業的な開発に正式に責任があるが、実際には、政治的な理由で、彼らが開発したシステムを売ろうと少しもしていません。これは完全に誤った、経済的に高価な失敗です。宇宙活動を商業化するように努力しているというG7政府の主張は誤りです。彼らは実際、正しくない見せかけで税金を使用しています。

第22回宇宙技術及び科学の国際シンポジウム(ISTS2000)での発表以来[15]、G7政府は更に360億ドルを自然科学以外の無益な『国際宇宙ステーション』開発、そしてより無益な過剰投資がされているリモートセンシング衛星システム開発を中心とした『宇宙開発』に使いました。同じ期間に、彼らはただの一度も乗客旅行に関連した仕事に予算を使っていません。

特に先進国の新産業の不十分な発達のため、世界経済全体が不景気に向かっています。こういった時に、この誤った政策は直接的には税金を誤用し、間接的には優れた成長見込みのある新産業の開発を妨げることで非常に大きな損失を納税者に課しています。この政策の誤りをできる限りすぐに直すことは、世界経済の死命を制するほど重要です。

5. 参照

1) Anon, 2001, “World News Roundup” Aviation Week & Space Technology. Vol 154, No 15, p 22.
 
2) W Ferster, 2002, “Launch Providers Bemoan Stagnant Market”, Space News, Vol 13, No 3, p 9.
 
3) Anon, 2000, Government Reply to Trade and Industry Committee Tenth Report, Appendix to Trade and Industry Committee Twelfth Special Report,
www.parliament.the-stationery-office.co.uk/pa/cm199900/cmselect/cmtrdind/908/90804.htm
 
4) D O'Neil et al, 1998, “General Public Space Travel and Tourism - Volume 1 Executive Summary”, NASA/STA, NP-1998-03-11- MSFC, also at
www.spacefuture.com/archive/general_public_space_travel_and_tourism.shtml
 
5) M Gerard & P Jefferson, (ed.s) 1998, “International Cooperation in Space: New Government and industry Relationships”, Report of an AIAA/CEAS/CASI workshop, AIAA, also at
www.spacefuture.com/archive/report_of_working_group_4_of_the_aiaa_ceas_casi_workshop_
on_international_cooperation_in_space.shtml
 
6) Anon, 1998, “Space in Japan”, Japan Federation of Economic Organizations.
 
7) W Niskanen, 1971, “Bureaucracy and Representative Government” reprinted in “Bureaucracy and Public Economics”, 1996, Edward Elgar Publishing.
 
8) P Collins, 2001, “Space Needs Passengers”, Correspondence, Aviation Week & Space Technology, Vol 152, No 11, p 7.
 
9) P Collins, 7-002, “Break Vicious Circle of High Cost, Low Demand”, Space News. Vol 13, No 7, p 14.
 
10) P Collins, 2002, “Rescuing the CRV”, Aerospace America, February, pp 5-6.
 
11) P Collins, 2002, “Towards Space Tourism: the Challenge for British Space Policy”,
Journal of the British Interplanetary Society
, Vol 55, pp 149-159, and also at
www.spacefuture.com/archive/towards_space_tourism_the_challenge_for_british_space_policy.shtml
 
12) P Collins & Y Funatsu, 1999, “Collaboration with Aviation: the Key to Commercialization of Space Activities”, IAF Congress paper no IAA-99-IAA.1.3.03, also at
www.spacefuture.com/archive/collaboration_with_aviation_the_key_to_
commercialisation_of_space_activities.shtml
 
13) P Collins, 2002, “Meeting the Needs of the New Millennium: Passenger Space Travel and World Economic Growth”, Space Policy, in press.
 
14) P Collins, 2002, “The Cost of Governments Monopolisation of Space Travel”, Proceedings of Public Choice Society Annual Meeting.
 
15) P Collins, 2000, “Space Tourism, Space Policy and Economic Policy”, Proceedings of ISTS 2000, also at
www.spacefuture.com/archive/space_policy_space_tourism_and_economic_policy.shtml
 
16) B Smith, 2002, “Commercial Burden”, Aviation Week & Space Technology, Vol 156, No 15, p 15.
 
17) S Hoeser, 2002, “Losing the Champion-ship”, Space News, Vol 13, No 13, p 13.
 
18) P Collins, 2000, “Public Choice Economics and Space Policy: Realising Space Tourism” , Acta Astronautica, Vol 48, No. 5-1 2, pp 921-950, also at
www.spacefuture.com/archive/public_choice_economics_and_space_policy_realising_space_tourism.shtml
 
19) M Taverna, 2002, “Europe Eyes new Ariane plan”, Aviation Week & Space Technology, Vol, 156, No 19, p 68.
 
20) A Cooper, 2002. Personal Communication, February 6.
 
21) Y Inatani, 2001, "Flight Demonstration and a Concept for Readiness of Fully Reusable Rocket Vehicles", Proc. 9th ISCOPS; also downloadable from
www.spacefuture.com/archive/flight_demonstration_and_a_concept_
for_readiness_of_fully_reusable_rocket_vehicles.shtml
 
22) K Hanson, 2001, “Japanese Tests RLV Prototype”, Space News, July 9.
 
23) Anon, 2001, “Realise Space Tourism in 30 Years”, Nihon Kougyou Newspaper, October 8, p 6 (in Japanese).
 
24) S Segawa, 2002, “Intentionally Ignored”, Mainichi Newspaper, February 4 (in Japanese).
 
25) Anon, 2001, “China, Technology Giant, Calling Human Resources Back from Abroad”, Nihon Keizai Newspaper, July 11 (in Japanese).
 
26) P Collins et al, 1995, “Demand for Space Tourism in America and Japan, and its Implications for Future Space Activities”, Advances in Astronautical Sciences, Vol. 91, pages 601-610, also at
www.spacefuture.com/archive/demand_for_space_tourism_in_america_and_japan.shtml
 
27) Anon, 1999, “Japanese Middle and High School Students Have no Dreams and No Hopes: International Survey Shows More Pessimistic about the Future than Chinese or Americans”, Yomiuri Newspaper, May 14 (in Japanese).
 

 
著者/発表者 : パトリック コリンズ
翻訳者 : 平井 大輔
発表日 : 2002年5月2日
翻訳日 : 2003年5月5日
編集日 : 2003年11月11日
発表場所 : 第23回 宇宙科学技術国際シンポジウム
(23rd International Symposium on Space Technology and Science [ISTS])  島根県松江市
原文 : The Cost to Taxpayers of Government' Anti-Space Tourism Policy
, and Prospects for Improvement
 
 
   
 

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